美味しい豆腐あります「井川とうふ店」
18:38 // 4 コメント // kaorun // Category: 飲食 //「徳松とうふ」というもめん豆腐。
外はしっかりしてるんですが内はやわらかく、食べるとしっかりした大豆の味。
とても美味しいです。
「徳松とうふ」に出会ったのはうつぼ公園近くの「VEGE EUPHORIA(ヴェジユーフォリア)」という八百屋さんです。普通では目に出来ないような野菜がたくさんあって楽しいお店です。
野菜以外にもこだわり食材を販売してます。
「徳松とうふ」が住吉大社近くの粉浜商店街にある「井川とうふ店」の豆腐である事を知り、
美味しい豆腐のできるまでを見せてもらいに行ってきました。
AM7:30 粉浜商店街に到着。まだ開いてるお店はほとんどありませんが、
「井川とうふ店」の豆腐づくりは始まってました。
井川清さん、創業明治43年「井川とうふ店」の4代目です。
この若さで、豆腐をつくりはじめて20年のベテラン。豆腐は全て清さんがつくっています。
1. 豆腐を造る時に一番大事にしている事。
井川 やっぱり大豆ですよ。ぼくら豆腐屋の職人って職人の腕でどうにかするってないと思うんですよ。ただぼくらは大豆のもっている旨味をどうやってひきだすかっていう事であって、いい大豆であればそれなりに美味しいもんができるし、それをなるべくなるべく高いところまでもっていける様に努力するっていうのと、あと大豆って国産大豆にしても100種類以上種類があって、それぞれに持ち味が違うんで、それをどうゆう風に使い分けていくかっていうのでもすごい違ってくると思うし、だからやっぱり豆腐は大豆が一番やと思いますね、後はどうやって味をひきだすか。
井川さん厳選大豆を見せてもらいました。
井川 日本の土ってやっぱすごいんですよ。土すごいですよ。
九州のフクユタカ。
井川 九州のこのフクユタカっていうのは、どっちかっていうと甘みよりしっかりした豆腐ができるような大豆が多いんですよ。
全部が全部そうじゃないねんけど、比較的多いですね、土質からして。
宮城のミヤギシロメ。
井川 北にあがるほど、結構やわらかいけど甘い大豆が増えてくるんですよ。ミヤギシロメっていうのも、すごく甘い大豆で、でも甘い大豆とはずれがあるんで、ずっと安定的に毎回甘いかっていうとそうでもなくって。同じミヤギシロメでも、僕分けてんねんけど、産地とか全部一緒でも農家が一戸隣になったりしたら甘さがちがうんですよ。
甘みのある方はすくい豆腐とか、徳松にちょっと足してるんですわ。そうゆう使い分けとか、細かくしていかへんかったらばらばらなっていく。同じ品種で、同じ時にとったら一緒やろって思ってる人が多いんやけど、そうじゃない。
石川のエンレイ。
井川 石川のエンレイっていう豆。これは豆腐じゃなくてうすあげに使ってるんです。
群馬のオオシロ大豆。
井川 群馬のオオシロ大豆。京都の有名な豆腐屋さんの友達に「こんなええ大豆があんねん」みたいな話聞いて、こいつがこんだけ言うんやから旨いんちゃうかと思って、「俺も使いたいちょっと紹介してや」って言うたら、「わかった探したるわ」って。探してもうたら「あれへんわ井川」って言われて、「そんなん言わんと紹介してぇや」
って言うとったら、たまたま聞いてもうとったお豆腐屋さんで契約栽培してて、「ちょっと余分めにとってるとこあるから、そこが分けてくれるって言うてるわ」で、まわしてもうてるんですよ、ちょっとずつ。ほんまちょっとずつしか手にはいらないんで。
京都の有名な豆腐屋さんが「久在屋」さんである事を教えてもらったので、どんな豆腐なのか食べてみたくて、後日難波高島屋に行ってみました。「地豆腐」なる商品を発見。地豆腐とは日本各地でその土地に根付いてきた独自の大豆、地大豆を100%使用した豆腐の様です。
時期により地大豆は変わる様ですが、何と目の前にある地豆腐は群馬県片品村尾瀬産のオオシロ大豆100%の豆腐でした。
高額(1丁525円)でしたが、買って食べてみました。しっかりした大豆の甘い味、
「徳松とうふ」の大豆の甘みに似てました。
久在屋 www.kyuzaya.jp
「一番大事なのはやっぱり大豆ですよ」と語っていた井川さんの言葉を思い出しました。
美味しい豆腐をつくるために、大豆の産地にこだわり、農家にまでこだわり、必要な大豆は豆腐屋さんからも分けてもらう。そして厳選した大豆の持ち味を吟味した上で配合を決める。原料である大豆へのこだわりが井川のとうふが美味しいと言われる理由だと実感しました。
2. 「徳松とうふ」と最初につくった「すくい豆腐」
「徳松とうふ」の名前の由来。
井川 徳松っていうのは僕のひいおじいちゃんなんですよ。
ひいおじいちゃんがつくっていた頃の豆腐をつくろうというのがきっかけでつくり始めたので「徳松とうふ」っていう名前にしたんですよ。
「徳松とうふ」はもめん豆腐なのに内はやわらかい。
井川 ひいじいちゃんのつくっていた豆腐って僕もよくわからないんですけど、イメージした中で、濃厚な豆腐で、ただ、製法は木綿なんですけど、木綿っていう感じがしない、奴で食べれる木綿っていうのをつくりたくて、どうしてもね、普通の木綿みたいにぎゅっと固く絞ってしまうと、旨味も一緒に絞ってしまう形になるんで、あれはあれでうまさがあるんやけども、そうじゃなくって…。
僕、はじめにつくり出したんが、すくい豆腐なんですね、それの味を残しつつっていう、木綿っていうか、そうゆうのがつくりたくってつくった豆腐なんです。
井川さんが最初に造った「すくい豆腐」
やわらかくて、甘くって、たまりません。夏場は一番の人気商品です。
井川 最初僕がやり始めた頃って、おやじがつくってる普通の豆腐しかわからなくて、そんなんをつくってても全然面白くないやんか、豆腐屋何が面白いんやろ、って思ってる時に、青年部っていうのが発足されるから、っていうんでそこに出たら、たまたまその場で集まってじゃいけんさせられて、じゃいけんで負けて、役員させられる事になって嫌々でも行っとったらミヤキタさんが持ってきた豆腐を食べる機会があって、それを食べた時に、こんな美味しい豆腐もつくれるんやって思って、「どうやってつくってるんですか」みたいな話をしとったら、「うち見に来いや、教えたるわ」みたいな感じで、一回見に行ったんですよ。それで見に行って教えてもうた事を持ち帰って、ここで試行錯誤しながら初めてつくったのが「すくい豆腐」っていう豆腐なんですね。で、お客さんに最初配りながら、「こんなんつくってん」みたいな感じで言うとったら、「美味しかったで」って言われて、言われたら嬉しいじゃないですか、そうゆうので、どんどんどんどん、今度こんなんつくってみよう、あんなんつくってみよ、みたいな形でずっとやってきた様な感じですね。
井川さん、最初に「すくい豆腐」をつくってから20年、毎日豆腐をつくり続けてます。
3. 美味しい豆腐ができるまでを見せてもらいました。
一晩水に浸けた大豆。大豆はつくる豆腐によって配合を変えます。
井川 だいたい基本的には、ミヤギシロメとフクユタカっていうのがベースになってるんですよ。甘みのでる大豆はたいがい柔らかい豆腐ができたりするんで、それだけじゃあちょっとやりにくいんで違うやつを入れたりとか、粘りのでる大豆を使ったりとか。ほんまやったら、これっていうのでできたら一番ええんやけど、なかなかね、そんな大豆ないですわ。
大豆をすりおろします。
井川 一晩水に浸けた大豆にお水を足しながら、石と石、臼ののモーターを回しながらすりおろしていくんですわ。この状態が生呉(なまご)って言うんです。
生呉(なまご)。
機械で絞りあげ豆乳とおからに。
徳松とうふの豆乳。すごく濃厚です。
おからが出てきました。
==井川さんこだわりポイント==
もう一度、手で絞りあげます。
井川 普通、みんな絞ってでてきた豆乳にそのままにがり入れるんですけど、細かいおからをとりたいんで、もう一回絞るんですよ。豆腐の口当たりが良くなるっていうのと、細かいおからが欲しいっていうお客さんが結構うち多いんでそれをとりたいので、細かいおからがでる様なセッティングで、はじめの丸い筒の中にメッシュが入ってて、中にスクリューみたいなのが入っててそれで絞っていくんですけどね、そのメッシュわざとちょっと粗いのいれてるんです。
手で絞りあげた細かいおから。
よせこみ=豆乳ににがりを加えて固めていく作業。
豆腐の種類によってよせこみ方が違います。「徳松とうふ」のよせこみを見せてもらいました。
==井川さんこだわりポイント==
高温のままよせこむ
井川 温度が高ければ高いほど、凝固するスピードが早くなるんで、
難しいんやけども、高い温度でよせこんだ方が甘みとかがでるんで、僕はなるべく出たら出たまんまの高い温度で、ガツッとあわせる方が好きなんです。
手で絞りあげた熱いまんまの豆乳をこしかんに丁寧にそそぎます。
==井川さんこだわりポイント==
にがり(塩化マグネシウム)10
井川 豆腐って基本的に固めるのは、にがり(塩化マグネシウム)と、大阪とか京都とかほぼみんな使ってるのがすまし粉(炭酸カルシウム)。この二手がだいたい主流で、みんなレギュラーの木綿はすまし粉100%でつくってるのが多いんですけどね。にがりの方が、旨味、甘みが出やすい。ただ、安定させようと思ったら、すまし粉の方がぶれ難いんで、幅が広いんですよ。凝固させる時の温度にしても、量にしても、言ったらあれやけど、簡単にそれなりのもんがつくりやすく、ぶれ難い。にがりは逆に、すごくシビヤになってくるんです。ほんま、僕らでもこうゆうメスシリンダーで量ったりすんねんけど、1cc変わったらすごい変わるぐらい、すごいシビア。
にがりの量をメスシリンダーで量ります。
豆乳の量もものさしで量ります。
量ったにがりをセッティング。
==職人技==
豆乳が熱いうちに、一気によせこみます。
井川 にがりとすまし粉の違いは、固まっていくスピードが全然違うんですよ。にがりを使うと一瞬でパパン!て固まっちゃうんで、短時間の間にガッ!と固まらせてしまうのが難しんで、みんなあんまり使わないんです。バンバーンってザッとせえへんかったら、にがりと大豆のたんぱくがくっつい後、またこれ以上かきまぜると離れちゃうんですよ。そうすると変なえぐみがでたりとかするんで。これをもっと温度下げていったら、何回もかき回せていけるようにとかするんやけど、高温でやるとね反応早いんで美味しい。皆あまりやらないんで、あえて。
豆腐をよせこんでいる時の井川さんの気迫は本当にすごいです。
厳選した大豆と井川さんのよせこみの技術があってはじめて美味しい豆腐がうまれるのだと確信しました。
井川 なんとな〜くの、なんとな〜く毎日やっている感ていうか。
ほんまににがりってそれ位シビアなんですよ。
「すくい豆腐」のよせこみも見せてもらいました。
「徳松とうふ」とはよせこみ方も使うにがりも違うようです。
井川 よせこみ方が違って、やわらかく。徳松の方は塩田にがりっていうのを使ってて、すくい豆腐の方は海精にがりっていうのを使ってるんですけど、にがりも種類いっぱいあるんですわ。海精にがりっていうのは伊豆大島でとれたやつなんですけども、沖縄でとれたやつとか瀬戸内でとれたやつとか、そのとれる海によって入ってるミネラルが違ってくるんで、堅さとか、味のでかたとかが違う。すくい豆腐がぷりんぷりんになってんのは、よせこみがちゃんとしてるから、ミネラルが多いから、旨味とか甘みもでる。
徳松とうふの箱入れ、徳松とうふ特製の箱です。
箱に木綿をひいて流し込みます。
平にします。この作業も技がいる感じです。
最後に木綿で覆います。
==井川さんこだわりポイント==
2時間〜2時間半かけて絞ります。
井川 2時間とか2時間半とか、そこが多分大手では絶対できないんでよ。だいたい30分くらいでみんなおろすんで。2時間から2時間半かけて絞るとこってそんなないと思うんですよ。あえて保水性のあるようなぎりぎりのところのよせこみをやってるんで、水がでないんですよ。水がでないのを時間かけてゆっくりゆっくり絞っていくから、中が柔らかいままで表面だけ固まる。 濃度を高くするため、水の加減も限界まで減らしてるんで。
お玉ですくって、ぷりんぷりんのすくい豆腐のできあがりです。
できたてを食べさせてもらいました。ぷりんぷりんで、すごく甘くって、美味しいです。
大豆の味が濃厚なので何もつけなくてOKです。
2時間半後、やっと徳松とうふの完成です。
==井川さんこだわりポイント==
井川 ほとんど水入る場所ないじゃないですか。たくさんの水がこのカップの中に入ると、そこにどんどん旨味とかが出て、にげていくんですよ。ある程度とけたところでとまんねんけども、それが少なければ少ないほど味がぬけにくいんですよ。ほんで、徳松の型箱も、これにあわしてつくってあるんです。これにあわせて、ぎりぎりにつくってあるんで。
徳松とうふ、井川さんの友達がデザインしたラベルが貼られて完成です。
奴で食べても、湯豆腐にしてもとっても美味しいです。温めると、内のやわらか豆腐がとろとろになって、白子みたいです。一度是非お試しください。ただし温め過ぎには注意してください。
まだまだ美味しいモノに出会えるお店です。
毎日毎日、清さんが豆腐を造り、お父さんとお母さんがそれを支えているあったかいお店です。
近所のお総菜屋さんが朝早くからおからを買いに来てました。
保母さんが大きいバケツ持って子供達の為に沢山のお豆腐を買いに来てました。
近所の方誰に聞いても「井川のとうふは美味しいよ」と言ってました。
私も本当にそう思います。
文 中野かおる
撮影 斉藤五十八、今西一寿
サポート 山下愛
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
井川とうふ店
〒559-0001
大阪市住之江区粉浜3-9-22
06-6671-1822
http://www.mydo.or.jp/kodawari/021.htm
VEGE EUPHORIA(ヴェジユーフォリア)
大阪市西区京町堀1-9-2
06-6447-8310
http://www.vegeeuphoria.jp
徳松とうふと、寄せざる豆腐があります。/各450円
井川とうふ店とは値段が異なります。/各320円
ない時もあるので先に連絡する事をおすすめします。
Antenna Osaka
2011年2月13日 21:51
うわーっ! 湯豆腐が食べたくなりました(>o<) ぜひ、Ustで、紹介・拡散させてくださいね。
kaorun
2011年2月13日 22:52
Ust配信時、湯豆腐用意しま〜す。美味しいですよ。
Unknown
2011年2月18日 13:39
お取り寄せできるんですね!なかなか大阪へ行けないので、お取り寄せして食べてみようと思います☆職人さんな表情にぐぐっと惹かれました!
kaorun
2011年2月20日 20:27
井川清さん、自分で納得のいく味を追求し続ける豆腐職人、素敵な方でした☆